不妊症治療
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不妊症とは

不妊症とは、妊娠を望んでいる夫婦が、結婚後正常な夫婦生活を経ても妊娠に至らない状態を指します。
日本では一般的に2年以内に妊娠しなかった場合を、不妊症と定義しています。不妊症にはさまざまな原因が考えられるため、原因を特定する為の検査を必要に応じて行っていくことになります。

当院では血液検査(女性ホルモン、感染症、甲状腺機能検査など)、精液検査、頚管粘液の精子適合試験(huhnerテスト)、子宮卵管造影、ヒステロスコープ、超音波による卵胞計測、腹腔鏡などを行っています。

不妊症とは

不妊治療について

Ⅰ タイミング指導

基礎体温測定、尿中LH検査、超音波検査などにより排卵日を予測します。

Ⅱ 排卵誘発

排卵に問題がある場合に排卵誘発剤により排卵を誘発します。タイミング指導と併用することもあります。

Ⅲ 配偶者間人工授精(AIH

精子の数が少ない、運動性があまり良くない、精子が正常に形成されていない、などの場合には人工授精がしばしば行われます。
人工授精とは、精子と卵子とが出会うための複雑な経路を人工的に短縮する方法で、それによって受精の機会を改善するものです精子は排卵時に細い管(カテーテル)で子宮に直接、送り込まれます。
人工授精に際しては、良好精子分離法により健康な精子だけを直前に用意し、さらに女性に排卵誘発剤を使用すれば、成功率は高くなりますが,一般的には人工授精による妊娠率は8%前後です。

Ⅳ 体外受精

可世木病院の診断・治療の方針はできるだけ自然にと思っています。
内視鏡を用いた診断や治療を充実させているのもそのためです。
体外受精などは以下の方々にお勧めしています。

 
  • 既に他の病院で検査治療を行っても妊娠せず来院した方。
  • 人工授精を7-8回行っても妊娠しない方。 
  • 卵管が閉塞している、腹腔鏡で子宮・卵管の癒着が特にひどい方。
  • 精子がとても少ない方。
  • 年齢的に余裕がなく、たいへん急いでいる方。対象年齢は強いご希望が有れば45歳まで行っています。

高齢は成績が良くありません。
詳しくは体外受精のページをご覧下さい。

治療方針について

できるだけ自然にと思っています。内視鏡を用いた診断や治療を充実させているのもそのためです。
正確な診断、適切な治療を心がけています。一般的な治療の流れは次の通りです。
タイミング療法→人工授精→(腹腔鏡検査)→体外受精


諸検査で異常があればそれを治療しながら、最初にタイミング療法を行います。
このとき、排卵誘発剤の併用や黄体ホルモンの補充療法なども併用します。
タイミング療法だけで妊娠できないときには次に人工授精(AIH)を行います。
それでも妊娠できないときには体外受精(IVF-ET)となりますが、原因不明不妊症の場合には腹腔鏡検査もおすすめしています。


一般的には一つの治療法は6回程度繰り返し、妊娠できなければ次の治療法にステップアップします。
この理由は、ある治療法で妊娠できた方の治療回数をまとめると、おおよそ60-70%の方が3回目までの治療で、90%の方が6回目までの治療で妊娠されるためです。
いいかえると、同じ治療法を6回をこえて繰り返しても妊娠の可能性があまりないためです。

しかし、たとえば人工授精を6回行うためにはご主人のお仕事の都合や病院の休診日などの事情などから毎月行うことはまず不可能です。このため通常1年近くかかってしまいます。
そこで、30歳代後半で年齢的に余裕の少ない方は3回毎の治療でステップアップした方が良いと思います。

不妊症の原因と治療法

おおまかにいうと次のようになります。

排卵がない 排卵誘発剤
精子が少ない (薬)→人工授精→体外受精(顕微授精)
卵管がつまっている 手術→体外受精
卵巣がはれている 腹腔鏡下手術
卵管や卵巣に癒着がある 腹腔鏡下手術→体外受精
子宮内膜に異常がある 子宮鏡下手術、ホルモン治療
子宮の形がおかしい 子宮鏡下手術
子宮筋腫がある 腹腔鏡下手術または開腹手術

体外受精について

体外受精(IVF)とは、「試験管のなかでの受精」in vitro fertilizationを意味します。
体外受精についてはかなり一般的になりその方法も理解されるようになりましたが、それでもなお誤解をしている方や人工授精と混同している方もあります。

日本では不妊カップルは140万組あり、その内30-50万組が治療を受けていると言われています。
不妊治療を受けている人の13%が生殖補助医療(ART)といわれる体外受精・顕微授精などを受けています。

体外受精とはどのように行われるのでしょうか?

体外受精の手順は判りやすくいえば、ちょうど良く発育した卵を排卵直前の卵巣から採って精子と体の外で受精させ、受精した卵(これを胚といいます)を子宮に戻すことです。この過程をIVF-ET(体外受精―胚移植;in vitro fertilization-embryo transfer)といいます。

成功率を上げるためには粒の揃った良い卵をそろえる、採った卵を良い環境で培養し受精させる、子宮に戻してからうまく着床維持するようにする、などの条件が大切になります。
そのために費用と時間がかかることになります。

顕微授精に関して

卵巣刺激や採卵などは体外受精と同じことをするのですが、違いは採取した卵子に細い針を用いて精子をひとつだけ注入する方法です。精子の数が少ないとき、動きの悪いとき、なかなか受精しないときに用います。
費用は通常の体外受精より5万円余分に必要になります。

射精精液中の精子ばかりでなく,精巣上体や精巣内精子を用いた顕微授精も行っています。
無精子症の症例でも精巣上体精子吸引法(MESA)や精巣内精子回収法(TESE)により運動精子が得られる症例にはこれらの精子を用いた顕微授精も行っています。

胚移植(ET:embryo transfer)

正常に発育した胚を,医師が細いチューブを用いて子宮内に移植することを胚移植(ET)といいます。
採卵後2,3日目に移植する分割期胚移植(Day2,3ET)と5,6日目に胚盤胞移植(BT:blastocyst transfer)があります。
BTは,胚を胚盤胞と呼ばれる段階まで育てた後に移植する方法で、良好な胚を選別するのに適しています。

しかし、胚盤胞移植では,胚盤胞にならなかった場合には移植することができません。日本産科婦人科学会や日本生殖医学会では,胚移植の個数は原則的に1個としています。

ただし,年齢が高い場合や前回の胚移植で妊娠されなかった場合などには2個胚移植も許容されています。
そのためたくさん受精した方や、卵巣が過剰に反応して危険性のある患者さんの場合には凍結保存して別の月経周期に戻す凍結胚移植も行っております。

費用について

IVF-ET(通常の体外受精) 35~40万円
ICSI(顕微授精) 40~45万円

(平均的な数字で、使用した薬剤により上下します。)

IVFセミナーに関して

体外受精をお考えの患者様を対象にしたIVFセミナーを開催しています。予約制ですので詳しくは可世木病院 検査室までお問い合わせ下さい。

検査室の担当者がIVFセミナーを実施します。

日にち 毎月土曜日(不定期)
時間 PM12時00分~
場所 6Fスタジオ6
IVFセミナー

各種手術について

子宮鏡下手術

対象疾患 子宮内膜ポリープ、粘膜下子宮筋腫(子宮内に突出した筋腫)、
子宮奇形(中隔子宮など)、内子宮口狭窄症、子宮腔癒着症など
麻酔方法 子宮内膜ポリープなど短時間の手術が予想されるときは静脈麻酔
粘膜下子宮筋腫など長時間の手術が予想されるときは全身麻酔か脊椎麻酔
入院期間 手術当日の入院が基本。短時間手術の時は日帰り。長時間では1泊2日。
手術方法 経膣的手術ですので傷はありません。
入院時に子宮頸管拡張のための器具を挿入することがあります。

腹腔鏡下手術

対象疾患 卵巣腫瘍、チョコレート嚢胞など子宮内膜症、多嚢胞性卵巣、卵管留水症、
卵管周囲癒着症、子宮筋腫(数の多くないもの)、原因不明不妊症
麻酔方法 気管内挿管による全身麻酔
入院期間 手術前日の入院。手術翌日より歩行可能。手術後3日目で抜糸し退院の4泊5日。
手術方法 おへその部分に縦に約2cmの切開を加え、
ここから腹壁(おなかの壁)をつり上げる器具を挿入する腹壁吊り上げ法で行います。
さらにおなかの両側に5mmの鉗子(手術器具の一種)を挿入するための8mm程度の切開を2カ所ずつ入れます。
したがって合計5カ所に傷ができます。

開腹手術

対象疾患 大きな卵巣腫瘍、強い癒着が予想される場合、多発子宮筋腫
麻酔方法 気管内挿管による全身麻酔。
術後の疼痛緩和のため硬膜外持続麻酔チューブの留置も行います。
入院期間 手術前日の入院。 手術翌日より歩行可能。
手術後6日目で抜糸し当日または翌日退院の7泊8日または8泊9日。
手術方法 腹壁切開は傷跡が残りにくい下腹部横切開が基本です。